救急法

 こんにちは前橋准看護学校です。
今日は二年生が行った救急法の授業の様子をお届けします。
「救急」というと、ドクターヘリが登場したり、凄腕救命医が手術に挑むようなシーンを連想しがちですが、今回学ぶのは、そういったシーンの一つ前の場面です。
 
傷病者を発見し、場合により心肺蘇生を行い医師や救急隊が到着するまでに行う処置を学びます。この処置を【一次救命処置】といいます。最近では英語表記の【Basic Life Support】の頭文字を取ってBLSと呼ばれることもあります。AED以外の特殊な器具・薬品を用いないため、誰でも行うことができます。
 
一次救命処置があるのだから、二次救命処置というものもあります。おおまかに言うと医師を含む医療チームが現場や搬送先医療機関で行う、より高度な心肺蘇生処置を【二次救命処置】と言います。一次救命処置と二次救命処置のどちらが上とか、どちらが大事とかの問題ではなく、目の前の傷病者を救うために必要な行動を正しく行うことに重きを置きます。
 
 
 

 

例年、日本赤十字群馬県支部より指導員の方を派遣して頂き赤十字救急法基礎講習を開催しています。指導員の方の手技を見せていただき、一連の流れや動作の意義などを学びます。

 


講習会といえど、実際に傷病者が目の前にいると思って臨んでいるので生徒たちの目も真剣です。
 
 

 

 
 
講習ではAEDを用いた処置にも挑戦します。AEDは起動すると音声案内が開始されます。落ち着いて音声にしたがえば処置ができるよう作られています。
 
 

 

 

 

上の図は消防庁が発表したデータです。心肺停止状態の傷病者への救命処置において、私たち一般市民が心肺蘇生を実施しなかった場合の1ヶ月後の生存率は9.3%。心肺蘇生を実施した場合の1ヶ月後の生存率は17.3%。AEDを使用して心配蘇生を実施した場合(図中の黒枠)の1ヶ月後の生存率は53.6%。これらの数字が示すように、正しい心配蘇生処置とAEDを行うことで生存率が跳ね上がっています。
 
 
 

午前の講習を終えると午後には筆記と実技の検定があり、合格者には赤十字ベーシックライフサポーター認定証が付与されます。いわば救命の基礎に関する赤十字のお墨付きです。この講習を受け、認定証が付与されるということは、誰かの命を救う術を知ったということです。その「誰か」はあなたの大切な人かも知れないし、自分自身が「誰か」になる可能性もあるのです。そう考えると、命を救う方法はきちんと理解しておきたいですよね。
 

目の前で倒れている人が心肺停止状態の場合、1分経過するごとに救命率は10%ずつ低下すると言われています。いざその場面に遭遇したとしても行動に移すのは難しいことかも知れません。ですが、「救急車を呼ぶ」「他の人に応援を求める」この行動をとるだけでも傷病者が置かれた環境は大きく好転する可能性があるのです。その場面において自分にできる事を知っているのと、知らないのとでは大きな違いがありますよね。
 
生命と向き合い、いのちを支える。みんな准看護師のタマゴではありますが、ひとり一人が命に対する覚悟を持ってこの場にいるのだと思うととても頼もしく感じます。
 
 
 
出典:令和2年度版 救急救助の現状 Ⅰ 救急編―総務省消防庁ホームページより(https://www.fdma.go.jp/publication/rescue/items/kkkg_r02_01_kyukyu.pdf)
第89図を一部抜粋して掲載。